富士の恵みが織りなす水の絶景!忍野八海で出会う神秘の世界
富士山の雄大な姿を背景に、まるで宝石のように輝く透明な水面。そこには、魚が空中を泳いでいるかのような不思議な光景が広がっています。これは夢でも錯覚でもありません。それは、山梨県にある「忍野八海」という、この世のものとは思えないほど美しい湧水群です。
本記事では、古くから富士山信仰の聖地として崇められ、今もなお神秘的な雰囲気を放つ忍野八海を、徹底紹介します!
忍野八海
忍野八海(おしのはっかい)は、山梨県の富士山の麓、山中湖エリアに位置する美しい湧水池群です。八つの湧水池が点在していることからその名がつけられました。世界遺産、国の天然記念物、名水百選にも選ばれており、透明度の非常に高い富士山の湧水が織りなす、類稀な景観の美しさから、山梨県の河口湖・山中湖エリアでは人気の観光スポットとして、連日多くの観光客で賑わっています。
- 電話番号
- 0555-84-4222(忍野村観光協会)
- 公式サイト
- https://oshino-navi.com/archives/gallery_category/gallery_category1
- 駐車場
- 周辺に有料駐車場多数あり(300円)
- アクセス
- 高速バス: バスタ新宿(新宿駅)より、中央高速バス[富士五湖方面行き]に乗車、「忍野八海」バス停下車(所要時間約140分)
- 車: 山中湖ICより6 分
- 所在地
- 〒401-0511 山梨県南都留郡忍野村忍草
奇跡!富士山が育む湧水が作り上げた「美しすぎる水の街」
忍野八海の一番の見どころは、どこまでも澄み切った 8 つの池や川の水です。富士山の雪解け水が地表に染み込み、地下の溶岩層を通ることで、約20年という長い時間をかけてろ過され、忍野八海に湧き出てきます。この過程で、様々な不純物が取り除かれ、透明度の高い水となります。
これは中池(なかいけ)という池です。池の中が透き通っていて、魚や底が見通せるのがわかりますか?
また、池を覗き込む観光客も綺麗に反射しています。それだけ不純物がなく、透明度が高い証拠です。透き通っていながら、まるで鏡のようでもある不思議な光景を目の当たりにできます。
そしてこちらは湧池(わくいけ)という池です。こちらも透明度の高さが感じられます。
透明度の高さから、まるで魚たちが浮遊しているように見える不思議な錯覚にも陥りますよ。
美しすぎる桃源郷を遊歩道で巡る
このように、富士山からの湧水が美しすぎることで有名な忍野八海ですが、池だけでなく川も流れており、川に沿って遊歩道が設置されています。
川の水ももちろん、富士山からの湧水です。川の中は透き通り、川底や、そこに生える水草もはっきり視認できます。
川には鴨がいて餌を獲っていましたが、これだけ透明度の高い水なら、餌も探しやすいでしょうね。
忍野八海では、こんな感じで遊歩道を歩き池を巡りながら、自然の美しさを肌で感じることができます。
また、遊歩道には桜が植えられており、春になるとより一層華やかな景色の中を歩けます。
奥に見えるのは富士山です。
忍野八海を代表する 8 つの池
忍野八海には 8 つの池があり、それぞれ御釜池、お釜池、底抜池、銚子池、濁池、鏡池、菖蒲池、出口池という名前がついています。
どれも水の透明度は高く美しいことは変わりませんが、それぞれの池には個性があります。
例えば「お釜池」
一見すると小さな池なのですが、一箇所、深い穴が空いています。
池の底まで見通せるほどの透明度を持つ池。そこに空く深い穴。それを覗き込むとどんな光景が待っているか、想像がつきますか?
この穴の底の光景は、是非ご自身で見てみてください。感動しますよ。ただし、くれぐれも池に落ちないように気をつけてくださいね。
忍野八海の全体像
忍野八海は、8 つの池、遊歩道、売店で構成されています。遊歩道を歩きながら、各池を回ったり、飲食店や土産店に行ったり。休憩スペースもあります。
出口池だけ遠いので、徒歩で行くならそれなりに時間を確保して行きましょう。
忍野八海にはお土産店も充実!
忍野八海は山梨県を代表する観光スポットだけあり、お土産店や休憩スポット、食事処も充実しています。
土産店では、地域の特産物をはじめとして、漬物などの惣菜や、お菓子、工芸品などのグッズが販売されています。
忍野八海に来たら必ず食べたい絶品スイーツ!名水で作った草餅
忍野八海に来たら、草餅は必ず食べたい一品!富士山の伏流水を使用し、天然よもぎ 100% で作られています。
ふわっと香るよもぎの香りが心地よく、あんこも沢山詰まっています。あんこは甘すぎないのがうれしい。優しい味わいがくせになりますよ。
お値段も 150 円と気軽にいただけるのが良いですね。草餅は手のひらサイズで、小腹が空いた時や休憩がてらに食べられてうれしい大きさ。購入したら、ベンチやテーブルがある休憩スペースでいただきましょう。
忍野八海の駐車場
忍野八海の駐車場は各地に点在しており数もそれなりにあるため、基本的には駐車に困ることはありません。料金は 1 回の駐車で 300 円(普通車)のところがほとんどです。
駐車場は基本的に無人で、料金箱が設置してあります。駐車したら料金箱にお金を入れ、それから忍野八海へ向かいましょう。
ちなみに一番おすすめの駐車場は、鏡池の近くの駐車場です。
普通車・軽自動車限定で 10 台程度しか駐車できませんが、忍野八海の中心地に最も近い駐車場の 1 つです。駐車料金も、ほとんどの駐車場は 300 円ですが、ここは 200 円と安いところも Good ポイント。
忍野八海の歴史
忍野八海は、古くから富士山信仰と深い関わりを持つ霊場でした。かつては「忍野元八湖」として知られ、富士山登拝の前に水行を行う重要な場所とされていました。
1843 年(天保14年)、富士講の一派である大我講によって禊ぎの池として再興されたことをきっかけに、忍野八海の名が関東一円に広まりました。八つの池は「富士山根元八湖霊場」と呼ばれ、後に「元八湖霊場」と略されるようになりました。
しかし、1868 年(明治元年)の明治政府による廃仏毀釈政策により、富士信仰は衰退していきました。これに伴い、忍野八海での水行も徐々に行われなくなり、第二次世界大戦後にはほとんど見られなくなりました。
1965 年(昭和40年)頃から、忍野八海は観光地として注目されはじめました。1985 年(昭和60年)に「全国名水百選」に選ばれたことで知名度が一層高まり、現在では多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。富士山の伏流水が湧き出す神秘的な景観と、その歴史的背景が、忍野八海の魅力となっています。
- 富士講と大我講
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富士講は、江戸時代に盛んになった富士山信仰の民間宗教団体です。富士山を信仰の対象とし、富士登拝や修行を行う人々の集まりでした。
大我講は、この富士講の中の一つの派閥あるいは集団を指します。「大我(だいが)」という名称は、創始者や特定の教えに由来している可能性がありますが、詳細は不明です。
1843 年(天保14年)、この大我講が忍野八海を禊ぎの池として再興したことが記録に残っています。これは、大我講が当時の富士講の中でも活発に活動していた集団の一つであったことを示唆しています。
富士講には多くの派閥があり、それぞれが独自の教えや実践方法を持っていました。大我講もその一つとして、忍野八海の再興を通じて富士山信仰の発展に貢献したと考えられます。
神道に由来する富士山信仰が、何故、廃仏毀釈政策の影響を受けたのか?
富士山信仰とは、富士山を神聖な霊峰として崇め、登拝や祈りを通じて自然や神々とつながることを目指す日本の伝統的な信仰です。富士信仰とも呼ばれます。
富士信仰が神道に由来するものでありながら、なぜ廃仏毀釈政策の影響を受けたかというと、富士信仰が神道だけでなく仏教や修験道とも深く結びついていたためです。
富士信仰は、日本古来の山岳信仰や神道と共に、仏教や修験道の要素も取り入れて発展しました。特に、富士講という信仰集団は、仏教的な修行や神仏習合(神道と仏教が混じり合う信仰形態)の影響を強く受けていました。修験道は神道と仏教の要素を取り入れた宗教で、山岳を霊場とし、山中での修行を重視するため、富士山もその修行の場とされていたのです。このように、富士信仰は長い間、神仏習合の形で富士山に対する信仰を表現していました。
しかし廃仏毀釈政策により、神仏習合の形で行われていた富士信仰も打撃を受け、仏教的な儀式や修行は廃止され、富士信仰から仏教的な要素が排除されました。
忍野八海での水行なども、仏教的・修験道的な修行の一環とされていたため、廃仏毀釈の影響を受けて次第に衰退しました。この政策によって、神道的な信仰だけが残され、仏教的な儀式や修行が廃止されたため、富士信仰全体が影響を受けました。
富士山の恵みと日本の伝統が息づく忍野八海は必見の世界遺産スポット
忍野八海は、富士山の湧水が生み出す透明度抜群の水景色を楽しめる、山梨県を代表する観光スポットです。世界遺産に登録され、国の天然記念物にも指定されているこの場所は、自然保護と観光の両立を実現しています。
訪れる人々は、八つの池それぞれが持つ特徴的な景観を楽しめるだけでなく、富士山信仰の歴史に触れることができます。遊歩道を歩きながら、富士山の伏流水が長い年月をかけてろ過された結果である清らかな水を間近で観察できるのも、忍野八海ならではの体験です。
また、地元の特産品である草餅や、周辺の飲食店、お土産屋も充実しており、観光と地域経済の発展にも貢献しています。周辺に電車の駅こそ無いものの高速バスや路線バスでアクセス可能であり、車ではICから近く駐車場も充実しているため、多くの観光客が訪れる基盤が整っています。
自然の神秘、日本の伝統文化、そして現代の観光インフラが見事に調和した忍野八海。
美しすぎる水の街へ、是非足を運んでみてください。
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