
- 茶碗一杯から始める、抹茶のある暮らし
- 揃えたい道具
- 抹茶の選び方
- 美味しく点てるための準備
- 薄茶の点て方
- より抹茶の深さを楽しめる「濃茶」
- 抹茶ラテの作り方
- 抹茶の保存方法
- 一杯の抹茶がもたらす静かな時間
茶碗一杯から始める、抹茶のある暮らし

シャカシャカと茶筅を振る音だけが響く、静かな空間。
湯気の向こうに、鮮やかな緑。漂う芳醇な香り。
そしてそれをゆっくり味わう、自分だけの時間。
抹茶は、日本の心であり、日本を象徴する文化の一つです。
日本の文化の中でも、"特別"で"格式高い"とされる抹茶ですが、自宅で抹茶を点てて楽しむことは難しくありません。
必要な道具を揃え、基本的な手順を知れば、誰でも美味しい一杯を点てることができます。
この記事では、初めて抹茶を点てる方に向けて、必要な道具から点て方のコツ、保存方法まで解説します。
揃えたい道具

美味しい抹茶を点てるために必要な道具は4つです。
- 茶碗(ちゃわん): 抹茶を点てて飲むための器です。口が広く、ある程度の深さがあるものが点てやすいです。

- 茶筅(ちゃせん): 抹茶を泡立てるための竹製の道具です。細かく割られた穂先が特徴で、この形状によってきめ細かい泡を立てることができます。穂の本数は16本から120本まで様々ですが、初心者には泡立てやすい80本立がおすすめです。100本立も泡立ちは良いですが、柄がやや太くなります。消耗品のため、穂先が折れてきたら交換時期です。

- 茶杓(ちゃしゃく): 抹茶をすくうための細長い竹製のさじです。山盛り1杯で約1gが目安になります。計量スプーンでも代用できます。

- 茶漉し(ちゃこし): 抹茶のダマを取り除き、抹茶粉末を細かくするための道具です。滑らかな口当たりに仕上げるには欠かせません。

代用品について
専用の茶碗がなくても、茶筅でかき混ぜられる大きさがあれば、カフェオレボウルや広めのマグカップで代用できます。
茶筅がない場合は、小さめの泡立て器やミルクフォーマーでも抹茶を点てられます。シェイカーに入れて振る方法もあります。ただし、茶筅に比べると泡が粗くなりやすく、風味も劣ります。抹茶を日常的に楽しむなら、茶筅を用意することをおすすめします。

抹茶の選び方
抹茶ならどれでも良いわけではありません。飲用に適したものを選ぶことが、美味しい一杯への第一歩です。
飲用と製菓用の違い
抹茶には飲用と製菓用(加工用)があります。製菓用は焼き菓子などに使うことを想定しており、苦味や渋味が強く、飲用には向きません。
お茶専門店で「薄茶用」「飲用」と明記されているものを選ぶと安心です。
薄茶と濃茶
飲用の抹茶には「薄茶(うすちゃ)」と「濃茶(こいちゃ)」があります。
一般に抹茶を点てて楽しむのは薄茶です。購入時は、薄茶を選びます。

(濃茶については、後半で楽しみ方を紹介します)
美味しく点てるための準備
点て始める前のひと手間が、仕上がりを大きく左右します。
茶碗と茶筅を温める

点てる前に、茶碗にお湯を注いで温めておきます。冷たい茶碗では抹茶がダマになりやすく、お湯もすぐに冷めてしまいます。
このとき、茶筅も一緒にお湯に浸して穂先を湿らせます。茶筅は竹製のため、乾いたまま使うと穂先にしなりが出ず、折れやすくなります。
抹茶をふるう

茶漉しを使って抹茶をふるい、ダマを取り除きます。この一手間で、滑らかな口当たりに仕上がります。ふるった抹茶は茶碗に直接落とすか、別の器に受けておきます。
お湯の温度

お湯の温度は70〜80℃が適温です。
温度が高すぎると、抹茶に含まれるカテキンやカフェインが過剰に溶け出し、苦味や渋味が強くなります。また、鮮やかな緑色も損なわれます。逆に温度が低すぎると、香りが引き立たず、泡立ちも悪くなります。
薄茶の点て方
準備が整ったら、いよいよ抹茶を点てます。
分量の目安
- 抹茶:約2g(茶杓2杯、またはティースプーン1杯)
- お湯:60〜70ml
点て方の手順
1. 茶碗の準備
温めておいた茶碗のお湯を捨て、布巾で水気を拭き取ります。
2. 抹茶を入れる
ふるった抹茶を茶碗に入れます。約2gが目安です。
3. お湯を注ぐ
70〜80℃のお湯を60〜70ml注ぎます。
4. 茶筅で点てる
まず、茶碗の底に沈んだ抹茶をほぐすように、ゆっくりと混ぜます。
次に、茶筅を底から少し浮かせ、前後に素早く振ります。「M」の字を描くイメージで、手首のスナップを利かせ、表面にきめ細かい泡が立つまで振ります(目安は10〜15秒)。
泡が立ってきたら、茶筅を表面近くまで上げ、ゆっくりと動かして泡を細かく整えます。
5. 仕上げ
表面に細かい泡が均一に立ったら、茶筅を「の」の字を描くように引き上げて完成です。

上手に点てるコツ
- 茶筅は茶碗の底に押しつけない
- グルグルと円を描くように回さない
- 前後の往復運動を意識する
- 力を入れすぎず、手首を柔らかく使う
より抹茶の深さを楽しめる「濃茶」
薄茶と並んで「濃茶(こいちゃ)」という点て方もあります。

濃茶は、濃茶用の抹茶を約4g使い、お湯を少なめ(約30ml)にして、泡立てずにペースト状に練り上げます。「点てる」ではなく「練る」という表現を使います。
濃厚な旨味を楽しめますが、上質な抹茶でないと苦味が目立ちます。まずは薄茶で抹茶の扱いに慣れてから、濃茶に挑戦してみてください。
抹茶ラテの作り方
抹茶ラテも自宅で簡単に作れます。
ホット抹茶ラテ

材料(1杯分)
- 抹茶:2〜3g(小さじ1程度)
- お湯:30〜40ml
- 牛乳:150ml
- 砂糖:お好みで
作り方
- カップに抹茶と砂糖を入れ、スプーンで混ぜ合わせる
- 少量のお湯を加え、ダマがなくなるまでよく混ぜる
- 温めた牛乳を注ぎ、全体を混ぜれば完成
砂糖と抹茶を先に混ぜておくと、ダマになりにくくなります。
アイス抹茶ラテ

グラスに氷をたっぷり入れ、牛乳を注ぎます。別の器で抹茶を少量のお湯で溶き、グラスにゆっくり注ぐと、緑と白の二層になります。
アレンジのヒント
牛乳の代わりに豆乳やオーツミルクを使っても美味しく作れます。ミルクフォーマーで牛乳を泡立ててから注げば、カフェのような仕上がりになります。
抹茶の保存方法
抹茶は繊細な食品です。正しく保存しないと、風味がすぐに落ちてしまいます。
開封後の保存
抹茶は空気に触れると酸化が進み、風味が落ちていきます。開封後は2週間から1ヶ月以内を目安に使い切るのが理想です。
保存は、袋の口をしっかり閉じ、さらに保存缶やジップ付き袋に入れて二重に密封します。冷蔵庫で保管すると品質を保ちやすくなります。
使用するときは、冷蔵庫から出してすぐに開封せず、常温に戻してから開けてください。冷たいまま開けると、温度差で結露が発生し、抹茶が湿気を吸ってしまいます。
劣化のサイン
新鮮な抹茶は鮮やかな緑色をしています。白っぽく褪せてきたり、香りがくすんできたりしたら、劣化が進んでいるサインです。
風味が落ちた抹茶は、お菓子作りや抹茶ラテに使うと無駄なく活用できます。
一杯の抹茶がもたらす静かな時間

抹茶を点てるために、茶道の作法をすべて知っている必要はありません。茶碗と茶筅があれば、自宅のキッチンでも美味しい一杯を楽しめます。
お湯を沸かし、抹茶をふるい、茶筅を振る。その一連の動作に集中する時間は、慌ただしい日常から少し離れる機会になるかもしれません。
まずは一杯、点ててみてください。

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