千葉県銚子市にあり、日本一早い初日の出スポットとしても知られている「犬吠埼灯台」へ行ってきました🥳
- 基本情報
- 平地では日本一早い初日の出スポット
- 忘れずに!受付で参観寄付金を支払いましょう。
- いざ、灯台へ
- 圧巻!展望台からの景色
- 旧倉庫
- 犬吠埼霧信号所霧笛舎
- 尻屋崎台の霧鐘
- 犬吠埼灯台資料展示館
- 実はもう一つある展示室
- 白い丸型郵便ポスト
- 東映映画のあのシーン!
- 犬吠埼遊歩道
- 犬吠埼灯台にあるお土産屋さんと食事処
- 犬吠テラステラス
- 灯台は現代もなお日本の海を照らし続ける
- おまけ:現代における灯台の役割について
基本情報
〒288-0012
千葉県銚子市犬吠埼9576
参観寄付金:300 円(保護者同伴で小学生以下無料)
参観可能時間
- 3月~9月
- 8:30~17:00
- GW とお盆(8/10~8/19)期間
- 8:30~17:30
- 10月~2月
- 8:30~16:00
アクセス方法
駐車場は無料なので、車で行けばすべてが手っ取り早いです!
は事実としてそうなのですが、と言うと終わってしまうので、徒歩でも行ける、以下 2 つのアクセス方法があります。
1. 銚子電鉄「犬吠駅」から徒歩
犬吠埼灯台の最寄り駅は銚子電鉄「犬吠駅」になります。
犬吠駅から灯台までは、歩いても 10 分かからないくらいなので結構近いです。
(Google Map がきちんと道を出してくれなかったのでキャプチャで補足したものを貼りますね)
2. 高速バス停「犬吠埼」から徒歩
京成バスと千葉交通から「旭ルート」という高速バスが走っていて、最も遠くて東京駅からでも犬吠埼灯台へバス一本で行くことができます。
犬吠埼灯台への最寄りのバス停は「犬吠埼」になります。
こちらも歩いてみると徒歩 10 分もかからないので意外と近いです。
ただし、バス停を下りたらなかなかの森林ビューが広がりますので、驚かないように予め心構えが必要です。
私は行きは高速バスで行ったのですが、バス停下りてこの風景を目の当たりにしてちょっとだけ不安になりました😇 (だって秘境感がすごいからw もう帰れないところに置いていかれた的な笑)
東京駅のバス乗り場
高速バス「旭ルート」に関して、京成バスと千葉交通のバス乗り場は同じところにあります。
この場所が犬吠埼行きの高速バスが発車するバス乗り場です。
八重洲地下街の 27 番出口を出れば、目の前がバス乗り場なので迷わずに行けます。
高速バス「旭ルート」は銚子駅にも停まるので、時間に余裕があるなら銚子駅で下車して銚子鉄道で向かうのもありですね(料金はどちらも変わりません)
平地では日本一早い初日の出スポット
犬吠埼は、離島と山を除けば日本で一番早く初日の出を見ることができるところ。
国立天文台が「国内の初日の出時刻のランキング」を公開している。高地や離島を除く日本国内中、北海道・本州・四国・九州の平地で一番早いとなっている。
引用元:日本一早い初日の出 | 犬吠埼 - wikipedia
忘れずに!受付で参観寄付金を支払いましょう。
まずは入り口にある受付で参観寄付金(いわゆる入場料ですね)を支払って入場券を購入します。(300円)
参観寄付金のことに気づかずにズカズカ入っていったらスタッフさんに止められましたのでお気をつけください😇
いざ、灯台へ
実は灯台に来たのは初めてだったのですが、実物を見ると大きくて驚きました。
まずはここを上って展望台からの景色を眺めたいと思います。
たかが 99 段、されど 99 段。
灯台から素晴らしき景色を眺めるためには、99 段の階段を上っていかなければなりません。
「たかが 99 段」と思っていたのですが、普段運動していないわたしには結構きつかったです笑
一気に上ってやる!って意気込んだのですが、60 段くらい来たところで足が限界に😇w
すれ違うのにも気を遣うくらい階段が狭いので、後続で上ってくる人や降りてくる人がいるとなかなか焦るのですが、無理をせずに、適度に休憩取りながら上っていくことをおすすめします。
適度な休憩も悪くはなくて、ふと上を見上げると、壁の木目と螺旋階段の美しさにも触れることができます。
わたしはそれほど大きくはないもののリュックサックを背負っていたのですれ違うのそこそこ大変で、それもあってちょっと慌てちゃいました。
80 〜 90 段目以降はさらに急な階段になり、すれ違うのは無理な暗い狭くなるので、大きな荷物は持っていかないのが良いなって思いました。
(今思えば、荷物背負ってなかったらもっとスムーズに上れたかもなって。荷物の分身体が重たくなるわけですし。よく考えればわかりそうなものなんですけどね笑)
そんな私でも大体 3 分位で灯台の上まで上がれました。
そんな灯台の階段を上る様子を動画に撮ったのでどうぞ
※ 画面が結構揺れます、画面酔いしやすいかたは視聴を避けてください。
気をつけて!「下り優先」
ちなみに、私も降りる時に張り紙で知ったのですが、この階段は「下る人優先」とのこと。
すれ違うにしても、内側は階段の幅が狭くなっていて内側を上り下りするのは危ないので、上っているときに下ってくる人が来たら、内側に寄って下る人に先に行ってもらうのが良いですね。
動画では上っている私が下りの人とすれ違うとき、下りの人が待ってくれて私が先に上っています(というか私がルールを知らずに内側に寄らなかったのが悪い)が、ルール的には私が内側に寄って先に下りの人に行ってもらうのが正しかったです。行かれる時は気をつけてください。
写真見返したらきちんと入り口のところにも書いてありました。テンション上がると周囲が見えなくなることがありますのできちんと読んでから先に進みたいですね(自戒)すれ違いで邪魔になった方ごめんなさい。
圧巻!展望台からの景色
階段はきつかったですが、それを凌駕するほど展望台からの景色は素晴らしかったです。
この日は雨が降っていて天気も良くはなかったのですが、それでも遠くまで広がる太平洋や緑の山々とのコントラストが素晴らしかったです。
ちなみに踊場は人が 1 人通れるくらいの幅なので、リュックサックを背負っているとすれ違うのが結構つらいです。
動きにくいし、人の邪魔になるし、階段上るのつらくなるだけなので、大きな荷物は持って上がらないのが良いですね😇
最後に、短いですが犬吠埼灯台から太平洋を臨む風景を動画でどうぞ✨
旧倉庫
当時は倉庫だったこの建物は今は休憩スペースになっていて、ここで一休みしたり雨風をしのぐことができるようになっていました。
当時の面影を残す雰囲気がなんともノスタルジックです。
灯台に上って疲れた身体にはうれしい休憩所でした💕
犬吠埼霧信号所霧笛舎
霧笛舎は、霧で灯台が見えない時に大きな音を出して灯台の位置を船に知らせていた施設。
ここも内部が公開されていて見ることができました。
犬吠埼灯台 初代レンズ(フランス製一等八面閃光レンズ)
犬吠埼灯台の初代レンズが展示されていて、これは灯台が完成した明治 7 年(1874年)から昭和 26 年(1951年)まで(約 80 年間)使われていたそうです。
このレンズが第二次世界大戦で損傷してしまったので、現在のレンズ(国産の一等四面閃光レンズ)に交換したとのこと。
このガラス?の機構すごいですね。これが光を集約して閃光に変えて遠くまで光を届けていたんですね。
旧犬吠埼霧信号所・霧笛音響装置
霧信号は霧笛とも呼ばれ、音を使うため風や付近の騒音の影響を受けやすい弱点はありますが、その鳴り方(周期:音を鳴らす時間と止めている時間の組み合わせ)が霧信号所によって異なるため、船舶はどこの霧信号所から発せられているか識別できます。
旧犬吠埼霧信号所の霧笛は30秒隔てて5秒吹鳴という周期でしたが、この装置では2秒隔てて5秒吹鳴という周期に変更しております。
霧信号(霧笛)を発する装置には
- ダイヤフラムホーン
- 電磁力により発音板を振動させて吹鳴する。日本ではかつて主流であった方式。
- エアサイレン
- 圧縮空気によりサイレンを吹鳴する。
などがあり、犬吠埼霧信号所は最後までエアサイレンを使用しておりました。
この「霧笛」がどんな音なんだろうって気になったのですが、スイッチがあって実際に音を聞くことができました。
たしかに音色だけだとわからないけど、周期まで組み合わせれば音だけでどこの灯台から発せられているのかがわかりますね。濃霧で先が見えない船にとっては心強かっただろうなって感じました。
尻屋崎台の霧鐘
大きな鐘がありました。
この鐘は、霧の深いときに打ち鳴らして、近づく船に岬の所在を知らせたもので「霧鐘」といいます。
我が国最初の霧信号として、英人ズチブンソンの設書をもとに川口鋳造所で製作のうえ明治 10 年 11 月 20 日、尻屋埼灯台(しりやさきとうだい, 青森県)に設置されました。
重さは 1.7 トンあって、スコットランド製の時計仕掛で 1 分間に 1 回打鳴していました。
明治 12 年 12 月 20 日に新式の蒸気霧笛にその役目をゆずり、昭和 12 年まで葛登支岬灯台(かっとしみさきとうだい, 北海道)で使用されていたものです。
昔は鐘で音を鳴らしていたんですね。それにしても 1 分に 1 回って結構短い周期。さすがにこんな大きな鐘ですし、機械で鳴らしてたんだよね...?(人力だったらえらいこと)
犬吠埼灯台資料展示館
資料館もあったので見てみました。
ここでしか見れない、回転装置と一体となった一等レンズ!
資料館にとても大きなレンズがありました。
一等レンズ(沖ノ島灯台で使用)
このレンズは犬吠埼灯台のレンズと同等の大型一等レンズで、一等レンズの国産第一号として沖ノ島灯台(福岡> 県宗像市)において、大正11年(1922年)から平成19年(2007年)まで約100年間、使用されておりました。
レンズ本体の高さ2.53m、直径3.03m、レンズの重量2.65トン、装置全体の高さ5.15m、総重量13トンです。
回転装置と一体となった一等レンズの全容を見ることができるのは全国で当展示館のみです。
沖ノ島灯台では大きい方のレンズに赤のフィルターが付けられ、25秒を隔てて10秒間に2閃白光、さらに25秒を隔てて1閃紅光を発していました。
写真だと伝わりにくいですが、これかなり大きかったです。写真からこの資料館には上に二階もあるのがわかると思いますが、そこまで達しています。
東京灯標にあった三等レンズ
三等レンズ(東京灯標で使用)
このレンズは東京港の入口に昭和 44 年(1969年)に設置された東京灯標に使用されていた三等レンズで平成 22 年(2010年)に廃止されるまで約 40 年間、東京港を利用する船舶の安全に寄与しておりました。
つい最近まで使われていたんだ。
レンズって近くで見るとすごい計算されていて精巧にできているなってわかる。こういうのを間近で見られる経験ってあんまりないから良いですね。
二階にはステキな灯台が
二階に上がると、資料の展示とともに、灯台の写真も展示されていました。
こういうギャラリー的な感じも良いですよね。
わたしが中でも良いなって思ったのがこの写真
これは朝なのかな?暗がりから光が入ってくる夜明けの感じがどこか希望が生まれてくるような、そんな雰囲気を感じました。
実はもう一つある展示室
灯台の脇にも展示室がありました。
こっちは資料館よりも小規模ですが、当時使われていたランプとかが展示されていました。
白い丸型郵便ポスト
ホワイトデーに設置されたので「恋愛が成就する・幸せを呼ぶ・願いが叶う」ポスト とも呼ばれているのだそう。
東映映画のあのシーン!
昔の東映映画のオープニングに流れてた「荒磯に波」のシーンが犬吠埼灯台の浜辺だったみたいです!
場所的には、、この辺かな?
あーそれっぽいかも!😇
近くに降りることはできなかったので、雰囲気だけと思って動画撮りました📷
この日は天気が荒れ目だったのでざっばーん!!!の荒波を期待したのですが、東映のオープニングみたいな荒波はそうそうこなさそうでした😇笑
犬吠埼遊歩道
灯台の前には広場が広がっているのですが、
近くに遊歩道があって、海に降りることができました。
ちょっと行ってみましょう。
階段を降りると、道が二手に別れています。
犬吠埼灯台の方へ行ってみます。
正面に海!背面に地層!
ほどなく遊歩道を進むと行き止まりに行き着くのですが、そこで目に飛び込んできたものがこのマーブル模様の岸壁です。
犬吠埼の地層は有名で、「犬吠埼の白亜紀浅海堆積物」といって国指定天然記念物にもなっています。
犬吠埼灯台下周辺の砂岩は、約一億二千万年前の浅い海に堆積した地層(浅海堆積物)です。
銚子石がとれたのは恐竜時代の大嵐のおかげ
犬吠埼の地層は恐竜時代のおよそ1億2000万年前(中生代白亜紀前期)に比較的浅い海の底で堆積したものです。
普段は泥が堆積し、大嵐の際には陸から砂が運ばれてきて、海底に強い流れでできた砂山が積み重なりました。このように砂岩と泥岩が繰り返す、しましまの地層ができたと考えられています。
古くから採石されてきた銚子石は、この恐竜時代の地層の砂岩部分を採石したものです。特に砂岩と泥岩が繰り返す地層の中でも泥岩部分が少ない場所が採石場になりました。
ここから見える崖にはほとんど泥岩部がなく、厚い砂岩層を見ることができます。海水のたまっている、くぼ地は通称「馬フン池」とよばれ、銚子石の採石場跡になります。
犬吠埼の採石事業は昭和10年代に、採石のために犬吠埼が破壊されてしまうことを懸念した当時の銚子市長、川村芳次氏が中止させました。
海側を見てみても、堆積物で形成されている岩がそこらに転がっています。
かといって海が見えないということはなく、間近で海を眺めることができます。
遊歩道向かう階段を下りて灯台方面に歩きましたが、反対の西明浦方面からぐるっと回ると岩畳のあたりまで行くこともできました。
ちなみにこの岩畳は「砂岩泥岩互層(さがんでいがんごそう)」という砂岩と泥岩が交互に堆積してできた地層で、波により柔らかい泥岩が削られて窪み、砂岩が飛び出しているのが特徴。
犬吠埼の砂岩は、大嵐の時に運ばれてきた砂からできていると考えられているそうです。
犬吠埼灯台にあるお土産屋さんと食事処
灯台を出るとすぐに建物が並んでいて、お土産を購入したり、食事が穫れるところがいくつかあります。
灯台出てすぐの建物(下の写真)には「なぎさや」という「お食事・おみやげ・団体昼食・ご宴会はお任せあれオールインワン!」的なお店があります。
メニューを見ましたが、店名の通り、売りは海鮮(ラーメンとかそういうのもありました)。
となりはお土産屋さんで、海鮮から加工品まで結構たくさん販売されていました。
ちなみに犬吠埼灯台関連エリアの入り口付近(この建物の反対側にあたる)にも「お食事 あわび屋」という定食屋さんがありました。
なので食事処でいうと、
- なぎさや(海づくし)
- あわび屋
- Seaside Terrace(犬吠テラステラス内)
の 3 つになります。
(他、後述の犬吠テラステラスにパン屋さんとクラフトビール屋さんもあります)
位置関係的にはこんな感じです。
犬吠テラステラス
昔ながらのこういった食事処やお土産屋さんに囲まれて、イマドキな商業施設「犬吠テラステラス」があります。
なぜ「テラステラス」?
「犬吠テラステラス」
私もここに来るまで何故テラスが 2 つも付いてるんだろう?って思いました。
その謎は看板を見て解決。
そう、「INUBOW TERASU TERRACE」なんです。
「犬吠 照らす テラス」
だからテラステラスなんですね。
灯台だから「照らす」だと思いますが、粋なネーミングですよね。
施設内は飲食店と、地元の野菜や民芸品がたくさん!
肝心な店内はというと、カフェやパン屋さん、クラフトビール屋さんの他、地元の野菜や民芸品がたくさん販売されていました。
銚子ビール犬吠醸造所
銚子ビール というクラフトビールの他、銚子灯台コーラなんてのも販売されていました。
Seaside Terrace
海を眺めながら食事やお茶ができるカフェ的なお店
メニューも結構豊富でした。周囲にある海鮮や定食のお店とはまた違った、洋風のメニューが多かったかな?スイーツも充実していて、映えそうなのがたくさんありました。
さながら道の駅感満載の直売所
一方で、地元の食材や民芸品もたくさん販売されていました。
こんな映えスポットもありました✨
灯台は現代もなお日本の海を照らし続ける
明治 7 年から 150 年経過した今でも、変わらずずっと航海者を照らし続けている犬吠埼灯台。初めは歴史的な建造物を観たい。灯台からの景色を観たいと思って行ってみたけれど、実際にその佇まいを目の当たりにしたり、歴史に触れたりして、そこにあるロマンみたいなものをたくさん感じました。
また一方で、灯台の前には昔ながらの食事処と最近の流行を取り入れた商業施設が同居するなど、時代の流れに逆らうことなく、しかしただそこに流されるのではなく、新旧両方の良さを上手に活用することで、どちらの商業も成立させています。
犬吠埼灯台に関するどこかの文献にこんな言葉がありました。
「灯台からの眺め」だけではなく「灯台への眺め」
敢えて文献とは違う解釈をしますが、上記の言葉を目にして、灯台そのものからの景色だけでなく、灯台を臨む周辺エリアを含めたトータルなプロデュースがマッチしているステキな観光スポットだなって感じました。
今度は夜に、灯台が光を発しているところを観てみたいなって思いました😊✨
おまけ:現代における灯台の役割について
この記事を執筆するにあたり、「灯台のことなら」の 公益社団法人 燈光会 さまに現代における灯台の役割についてお話を伺いしました。
解説いただいた内容がとても勉強になるものだったのでここでご紹介させていただきます。 (燈光会事務局さま、解説いただきありがとうございました。)
灯台の役割につきましては、150年前と変わっておらず、位置情報の提供が基本的な役割です。
機械的な部分は更新されていますが、電球(光源)の光をレンズで収束(増幅)して発するという機能は、150年前と変わっていません。
位置情報の提供において、大切なのが、航海者が「灯台として見分けられること」、「灯台の位置等が明確であること」になります。
「灯台として見分けられること」については、日中においては、航海者から見て景色に埋没しないよう、多くの灯台が白く塗られています。(昼標効果と呼んでいます)
夜間においては、灯台の発する光で見分けることとなりますが、灯台によって光り方が異なるため、それによりどこの灯台か見分けることができます。
「灯台の位置等が明確であること」については、灯台の位置、光り方(灯質)、色等については、政府が発行する官報に掲載され、また海上保安庁が発行する海図、灯台表に記載されています。
これにより、航海者は視認する灯台が、何という灯台で、どの位置にあるかを正確に知ることができ、航海指標として利用することができます。
航海指標としての利用方法は、海上において、航海者が自船の位置を知ることですが、その具体的な内容については、当会ホームページの「航路標識の話」の中に説明がありますので、参考にしてください。
また、船舶の航海においても、航空機と同様に、ウェイポイントで針路を変えて(変針)して次のウェイポイントに向かうといった航海を行いますので、灯台はウェイポイントの目印として重要な役割があり、船舶から見て、〇〇灯台を何度に見るポイントで変針するといった使われ方は、現在でも一般的に行われています。
また、同じような使われ方で、「〇〇灯台を何度に見て陸岸に近づくと、浅瀬があるので危険」といった使われ方もあります。
港の防波堤に設置されている灯台は、港の入口や防波堤の存在を示す機能もあります。
いずれにしても、灯台の位置情報の提供の機能を利用した使われ方となります。
位置情報以外では、主要な灯台における気象情報の提供といった機能もあります。
気象情報の提供は、元々灯台に勤務していた職員が手動観測により提供していたものですが、現在自動化されて行われています。
灯台で観測された気象状況(風向、風速、波高など)は、一般的な気象観測データと異なり、航海上の拠点データとして、航海者にとっては不可欠な情報となっています。
上記で説明したように、灯台は位置情報の提供が基本的な役割ですが、GPSの登場により船舶は世界中どの海域においても自動的に位置が分かるようになりましたので、いちいち灯台の位置から自船の位置や針路を求めるような手間は省けるようになりました。
当然これにより灯台の必要性も低下しつつありますが、航海者は依然として目視航海 を基本としていますし、仮に先進的な航海機器がブラックアウトしても航海が続けられるよう、航海者の基本的技能として、灯台の位置情報から自船の位置を求める能力は必要とされています。
近年は、幕末から明治期の文明開化と共に造られた歴史的灯台を、地域の歴史的・文化的遺産として保存し、観光資源としても活用しようという動きが活発化してきています。
こうした流れは、灯台の本来の役割ではありませんが、海運国である我が国の海上輸送を支えるために先人たちが心血を注いだ証として後世に引き継ぐという意味では、とても重要な役割を果たしていると考えられます。