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神饌幣帛料供進神社・近代社格制度とは?〜GHQによる解放。神社が国家の統制下にあった時代〜

神饌幣帛料供進神社・近代社格制度とは?〜GHQによる解放。神社が国家の統制下にあった時代〜

神饌幣帛料供進神社

神饌幣帛料供進神社(しんせんへいはくりょうきょうしんじんじゃ) とは、明治時代から第二次世界大戦終戦まで、地方公共団体から神饌幣帛料の供進を受けていた神社です。

神饌幣帛料

神饌幣帛料(しんせんへいはくりょう)とは、神饌(神様に供える供物)と幣帛(神様に捧げるお金)のことです。神饌には、米、酒、魚、野菜、果物などが用いられ、幣帛には、紙幣や金貨などが用いられました。

明治時代初期の近代社格制度によって、その格式や規模に応じて、官国幣社、国幣社、府県社、郷社、村社に分類されました。神饌幣帛料供進神社は、このうちの郷社と村社に該当する神社です。

近代社格制度

近代社格制度とは、明治時代初期の神社制度改革によって制定された、神社の格式や規模に応じた分類制度です。

明治維新後、神仏分離令によって、神社と仏教寺院が分離されました。これにより、神社は国家の祭祀機関として位置づけられ、その制度の整備が進められました。

近代社格制度によって、全国の神社は 5 つの格に分類されました。

官国幣社
国家の祭祀を司る最高位の神社
国幣社
官国幣社に次ぐ位の神社
府県社
地方公共団体の祭祀を司る神社
郷社
地域住民の崇敬を集める神社
村社
小規模な神社

神社は、この格に応じて、国家から財政的な支援を受けていました。

近代社格制度は、第二次世界大戦終戦後に廃止されました。戦後の神社は、宗教法人として独立し、国家からの支援を受けなくなったため、社格制度の必要性がなくなったためです。

近代社格制度は、神社の統制や国家への帰属意識の醸成を目的として制定されました。しかし、戦後の神道の独立により、その役割を失い、廃止されることとなりました。

神饌幣帛料供進神社に指定される条件

神饌幣帛料供進神社は、郷社と村社全てに指定されたわけではありません。神饌幣帛料供進神社に指定されるためには、以下の要件を満たす必要がありました。

  • 古来より信仰の対象となってきた神社
  • 地域住民の崇敬を集める神社
  • 祭祀が盛んで、神職が常駐する神社

また、神饌幣帛料供進神社に指定されるためには、神社側の申請が必要でした。

具体的には、以下のような神社が神饌幣帛料供進神社に指定されました。

  • 創建が古く、地域に古くから伝わる歴史や伝説を持つ神社
  • 地域の鎮守として、地域住民の崇敬を集めてきた神社
  • 毎年、例祭や祈年祭などの祭祀が行われている神社
  • 神職が常駐し、祭祀を執り行っている神社

そのため、郷社と村社の中でも、これらの要件を満たす神社は限られていました。

なお、神饌幣帛料供進神社は、明治時代初期に制定された制度ですが、明治 40 年(1907年)からは、府県社以下でも神饌幣帛料の供進をうけうる勅令が出され、以後しだいに公費をうけるに至りました。 また、大正 3 年(1914年)4 月からは祈年祭、新嘗祭、例祭の三祭にも神饌幣帛料の供進を受けることが認められました。

なぜ神饌幣帛料供進神社という指定が存在したのか

神饌幣帛料供進神社という指定があった理由は、以下の2つが挙げられます。

  • 神社の財政的な安定を図るため
  • 神社の統制を図るため

明治維新後、神仏分離令によって、神社と仏教寺院が分離されました。これにより、神社は国家の祭祀機関として位置づけられ、その制度の整備が進められました。

神饌幣帛料供進神社は、この制度の一環として制定されました。神社は、その格式や規模に応じて、官国幣社、国幣社、府県社、郷社、村社の5つの格に分類されました。神饌幣帛料供進神社は、このうちの郷社と村社に該当する神社です。

神饌幣帛料の供進は、神社の祭祀や神職の給与などに充てられました。そのため、神饌幣帛料供進神社に指定されることは、神社の財政的な安定を図るために重要でした。

また、神饌幣帛料供進神社は、国家から財政的な支援を受けるという点で、国家の統制下にあることを意味していました。そのため、神饌幣帛料供進神社という指定は、神社の統制を図るための手段でもありました。

廃止された神饌幣帛料供進神社の指定

神饌幣帛料供進神社は全国に約 2 万社ありましたが、神饌幣帛料供進神社の指定は、以下の要因によって廃止されました。

  • 神社の独立
  • 戦後の宗教政策

神社は、明治時代初期に国家の祭祀機関として位置づけられ、その制度の整備が進められました。しかし、戦後は、神道は宗教として独立し、国家からの支援を受けなくなったため、神饌幣帛料供進神社という指定の必要性がなくなりました。

また、戦後の GHQ は、神道国家の解体と宗教の自由を保障することを目的として、宗教政策を実施しました。この宗教政策の一環として、神饌幣帛料供進神社という指定は、国家の宗教的関与を示すものとして廃止されました。

具体的には、1945 年 12 月 28 日に、GHQ から「国家神道、神社神道ニ対スル政府ノ保証、支援、保全、監督並ニ弘布ノ廃止ニ関スル件」という覚書が出されました。この覚書によって、神社は宗教法人として独立し、国家からの支援を受けなくなったため、神饌幣帛料供進神社という指定は廃止されました。

なお、神饌幣帛料供進神社という指定が廃止された後、神社は、各地域の信仰の中心として、新たな役割を担っていくことになりました。


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